【ツボ解説】商陽(しょうよう/LI1)|発熱・咽頭痛に効くツボ【場所・効果・取り方を図解解説】

LI1 商陽(しょうよう / Shangyang)

経絡名:手陽明大腸経(LI)
分類:井金穴(せいきんけつ)/大腸経の起始穴


目次

📍 取穴部位

手の示指(人さし指)橈側(親指側)の爪甲角のわずか外側、爪甲根部から約1分(約2mm)に取る。

取穴法(やさしい説明)

  1. 人さし指の爪の付け根を観察する。

  2. 親指側(外側)の爪の角を軽く押すと、少し痛みを感じる点がある。

  3. その点が商陽である。爪のきわを軽く刺激するだけで十分。

💡 目安:爪の外側角から爪1つ分(約2mm)外、軽く押すとチクッとするところ。


🧭 経穴の意味

「商」は五音のうちの“金”を表し、「陽」は外に発する性質を示す。
すなわち商陽とは、陽気(金気)を外へ発し、体表から邪を払い出す穴という意味をもつ。
五行では**金の性質(収斂・浄化)**を司り、肺・大腸系の働きと関係が深い。


🩺 主な作用・効能

分類 効果・適応
🔥 清熱作用 発熱、咽頭痛、扁桃炎などの初期症状に。熱を表から発散させる。
💨 開竅・醒神作用 意識障害、昏睡、脳卒中急性期の応急処置(刺絡で覚醒)。
💧 散風・利咽作用 鼻づまり、喉の腫れ、口渇。
⚡ 痛みの緩和 歯痛、指先のしびれ、頭痛。

💬 臨床応用例

  • 風熱感冒・発熱初期:商陽に浅刺または刺絡で熱を抜く。

  • 扁桃炎・咽頭炎:大椎・合谷と併用して清熱解表。

  • 脳卒中急性期・意識障害:両手の商陽を刺絡して「開竅醒神」。


🧠 生理解釈・比喩で理解する

商陽は「街のゲート」や「排気口」にあたる。
外から入ってきた“熱い空気(風熱邪)”を逃がし、体表の過熱を冷ます。
つまり、**大腸経の“排出スイッチ”**のような働きである。


⚙️ 押し方・刺激法

  • 指圧:爪の側面を親指と人差し指でつまむように押す。10秒×3回。

  • 刺絡:小量の瀉血により発熱や頭痛を軽減(臨床応用に限る)。

  • 灸法:感冒初期や冷えのある場合は米粒大の灸1~3壮。


⚠️ 注意点

  • 刺絡を行う場合は出血管理に注意(感染防止)。

  • 刺激が強すぎると痛みが出やすいので軽刺激が原則。

  • 高熱時の応急処置には効果的だが、慢性疾患には他穴との併用が必要。


🗺 イメージ図

準備中

「人さし指の爪の親指側角に取る」


🧩 関連経穴

  • 清熱解表:合谷(LI4)、曲池(LI11)

  • 咽喉疾患:少商(LU11)、魚際(LU10)

  • 意識障害・急救穴:十宣(手指末端の刺絡点)


✳️ 教科書的分類

項目 内容
所属経絡 手陽明大腸経
五兪穴 井穴(五行:金)
性質 表熱を瀉し、清熱・開竅作用を持つ
取穴基準 第2指橈側爪甲角外方1分

🧾 まとめ

商陽は、大腸経の始まりであり、外界との境界を守る防衛の要。
風熱・炎症・頭部の熱症状に即効性をもつ「表のスイッチ」である。
指先のわずかな点が、全身の熱を抜く排気口の役割を果たしている。

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この記事を書いた人

「医師×鍼灸師プラットフォーム HARI×MED」管理者。クリニックと併設鍼灸院を経営。医学的知見と経営・マーケティングを融合させ、鍼灸のファンを増やす活動を通じて受療率向上を目指しています。持続可能な医療連携モデルの構築を全国で支援します。

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