🧭 概要
二間（じかん／Erjian）は手陽明大腸経（LI）に属する経穴で、
五兪穴では滎水穴（えいすいけつ）にあたります。
熱を冷まし、炎症を鎮める「清熱・瀉火（しゃか）」の性質を持ち、
特に歯痛・歯肉炎・頬の腫れなど、顔面の熱性症状に用いられます。
📍 取穴部位
示指（人さし指）の橈側（親指側）で、
**第2中手指節関節の前方・赤白肉際（皮膚の色の境）**に取ります。
取穴法（やさしい説明）
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人さし指を軽く曲げ、第2関節の外側（親指側）を触れます。
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関節の少し手前に、皮膚の色が変わる境目があります。
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そこを押すと軽い圧痛や響きがある場所が二間です。
💡 目安：人差し指の第2関節外側の溝に親指を当てて軽く押すとチクッとする点。
🧭 経穴の意味と由来
「二間」とは、“商陽（LI1）”に続く二番目の関所を意味します。
「間」は門や通路のこと。
つまり二間は、外から体内へ入る邪気（熱や風）を防ぐ“第二の門”の役割を担います。
五行では「水」に属し、火（熱）を制する性質を持つため、
「熱を冷ます」「炎症を鎮める」ツボとして古来より使用されています。
🩺 主な作用・効能
| 分類 | 効果・適応症 |
|---|---|
| 🔥 清熱作用 | 歯痛、歯肉炎、頬の腫れ、咽頭痛など顔面の熱性炎症。 |
| 💧 瀉火・利咽 | 熱を冷まし、喉や頬の腫れ・痛みを鎮める。 |
| ⚡ 鎮痛作用 | 歯痛・顔面痛・頭痛。 |
| 💨 通経作用 | 気血の流れを調整し、顔面部の緊張を緩和。 |
💬 臨床応用例
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歯痛・歯肉腫脹・頬の熱感：二間＋合谷（LI4）で鎮痛・清熱。
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咽頭痛・扁桃炎・風熱感冒：商陽（LI1）と併用して発熱を瀉す。
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顔面神経痛・三叉神経痛：曲池（LI11）・太衝（LR3）と組み合わせて鎮痛。
🧠 生理解釈・比喩で理解する
二間は、大腸経の「体表から内部への関門」に位置するツボです。
商陽（LI1）が「外門（防衛のゲート）」なら、二間は「内門（流入の制御点）」。
都市モデルで言えば、
商陽が「市外料金所」なら、二間は「市内入口の信号機」。
熱（人や車）が流れ込みすぎたときに、信号を赤にして流れを制御する。
つまり、二間は顔面や頭部への熱の流入を防ぐ調整バルブなのです。
⚙️ 押し方・刺激法
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指圧法：人差し指を軽く曲げ、外側を親指で押し10秒×3回。
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鍼：直刺0.1〜0.3寸、軽い瀉法。清熱が目的。
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灸：米粒大1〜3壮、軽刺激で温めながら炎症を鎮める。
⚠️ 注意点
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過剰刺激は避ける（痛みが出やすい部位）。
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強い炎症や化膿がある場合は、清熱穴（曲池・合谷など）との併用が望ましい。
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感冒初期の「風熱タイプ」に早期に使用すると効果が高い。
🧩 関連経穴
| 目的 | 組み合わせ経穴 | 効果 |
|---|---|---|
| 清熱・鎮痛 | 合谷（LI4）、曲池（LI11） | 顔・頭部の炎症・熱を取る |
| 通経・利咽 | 商陽（LI1）、迎香（LI20） | 咽頭痛、鼻閉、頬の熱 |
| 明目作用 | 太陽（EX-HN5）、太衝（LR3） | 眼精疲労、頭重感 |
🧾 教科書的分類
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属経絡 | 手陽明大腸経（LI） |
| 五兪穴 | 滎水穴（水） |
| 性質 | 清熱・瀉火・鎮痛 |
| 取穴基準 | 第2指橈側、第2中手指節関節前方、赤白肉際 |
🗺 イメージ図（例）
指先（人差し指）の第2関節外側、赤白肉際
※準備中です
キャプション：「人さし指の第2関節外側のくぼみに取る。」
🧾 まとめ
二間（じかん）は、熱を鎮める水のツボ。
顔面の炎症や歯痛、咽頭痛など、体の上部に熱が集まる症状に特に効果を発揮します。
商陽と合谷のあいだに位置し、「熱を制御する第二の門」として働く、
**大腸経の“清熱・鎮痛の要穴”**です。
