【ツボ解説】偏歴(へんれき/LI6)|むくみ・手のだるさ・のどの腫れに効くツボ【場所・効果・押し方を図解解説】

🧭 偏歴(へんれき/LI6)とは

偏歴(Pianli)は手陽明大腸経(LI)に属するツボで、五兪穴の外にある「絡穴(らくけつ)」に分類されます。
経絡の“分岐点”に位置し、主経(大腸経)とその支流をつなぐ働きを持っています。
体表のむくみや手のだるさ、喉の腫れ、難聴などに効果があるツボです。
「偏歴」という名前には、「経絡の途中で分かれて流れる」という意味があります。


📍 場所と取り方

手の甲側で、手首の横じわ(陽谿:LI5)から肘に向かって3寸(指4本分)上がった位置にあります。
前腕の橈骨(親指側の骨)の外縁に沿った場所を目安に取ります。

やさしい取り方

  1. 手の甲を上にして、手首のしわ(陽谿)を探します。

  2. そこから肘方向へ指4本分の距離をとります。

  3. 骨の外側のキワを押すと、軽く響く場所が偏歴です。

💡目安:腕をまっすぐ伸ばしたとき、親指側の筋のふちにある小さなくぼみです。


🪶 名前の由来と意味

「偏」は“分かれる”、“歴”は“通じる”という意味があります。
偏歴は、経絡が途中で分かれて他のルート(絡脈)につながる位置にあるため、
**気血の流れを調整し、滞りを通す“中継地点”**のような役割を持ちます。
このツボを刺激することで、手から肩、そして首や顔に至る経絡の循環を改善します。


🩺 主な効果・効能

分類 主な効果・適応症
💧 利水作用 手のむくみ、腕のだるさ、顔のむくみ
🔥 清熱作用 喉の腫れ、扁桃炎、咽頭痛
👂 通絡作用 難聴、耳鳴り、顔面神経麻痺
💨 通経作用 上半身の気血の流れを整える

💬 臨床応用

  • むくみ・腕の重だるさ:偏歴+曲池(LI11)で血流と水分循環を改善します。

  • 咽頭炎・扁桃炎:偏歴+合谷(LI4)で熱を鎮めます。

  • 顔面神経麻痺:偏歴+迎香(LI20)で経絡の通りを促進します。

  • 耳鳴り・難聴:偏歴+聴宮(SI19)で耳の循環を整えます。


⚙️ 押し方と刺激法

  • 指圧法:親指で前腕の外側を軽く押し、10秒×3回。

  • 鍼法:直刺0.3〜0.5寸、軽い補瀉(ほしゃ)法。むくみや清熱に使用します。

  • 灸法:冷えや倦怠を伴う場合は温灸を2〜3壮行います。


⚠️ 注意点

  • 骨の際を押すため、強く押しすぎないようにします。

  • 手や顔のむくみが強い場合は、水分・塩分バランスの調整も重要です。

  • 熱をもった腫れ(炎症性疾患)には、軽い刺激で使用します。


🧩 関連するツボ

目的 組み合わせ経穴 効果
むくみ改善 曲池(LI11)、三陰交(SP6) 利水・排出を促す
喉の腫れ 合谷(LI4)、天突(CV22) 炎症を鎮める
顔のむくみ 迎香(LI20)、太陽(EX-HN5) 循環を改善し表情を整える

📘 教科書的分類

項目 内容
所属経絡 手陽明大腸経(LI)
五兪穴分類 絡穴
性質 利水・清熱・通経
取穴基準 手首の横じわから肘方向へ3寸、橈骨外縁上

🗺 図解イメージ

手の甲側で、手首から肘に向かって指4本分上の位置。骨の外側ラインに沿った位置が偏歴です。
※準備中


🌿 まとめ

偏歴(へんれき/LI6)は、腕や顔のむくみ、喉の腫れ、耳の症状などに効果があるツボです。
水分代謝と血流の流れを同時に整えるため、「上半身の巡りを改善する中継点」として重要です。
パソコンやスマホで腕がだるいときにも有効で、セルフケアとして日常に取り入れやすいツボです。

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この記事を書いた人

「医師×鍼灸師プラットフォーム HARI×MED」管理者。クリニックと併設鍼灸院を経営。医学的知見と経営・マーケティングを融合させ、鍼灸のファンを増やす活動を通じて受療率向上を目指しています。持続可能な医療連携モデルの構築を全国で支援します。

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