【ツボ解説】温溜(おんりゅう/LI7)|腕の痛み・歯痛・下痢・急な熱に効くツボ【場所・効果・押し方を図解解説】

🧭 温溜(おんりゅう/LI7)とは

温溜(おんりゅう/Wenliú)は、手陽明大腸経(LI)に属するツボで、五兪穴の外にある**郄穴(げきけつ)**に分類されます。
郄穴とは、「気血が一時的に集まるツボ」のことで、急性の痛みや炎症に対して即効性を発揮します。
温溜は、腕の痛みやしびれ、歯痛、下痢、発熱などに効果のあるツボです。


📍 場所と取り方

手の甲側で、手首の横じわ(陽谿:LI5)から肘に向かって5寸(指5本半分ほど)上がった位置にあります。
前腕の橈骨(親指側の骨)に沿ったライン上にあります。

やさしい取り方

  1. 手の甲を上にして、手首のしわ(陽谿)を探します。

  2. そこから肘方向へ指5本分半ほどの距離をとります。

  3. 骨の外側のキワを押して、軽く痛気持ちいい場所が温溜です。

💡目安:腕を伸ばしたとき、手首と肘のほぼ中間の少し下あたりに取ります。


🪶 名前の由来と意味

「温」は“ぬくもり”や“穏やかさ”を、「溜」は“たまる”を意味します。
温溜は、経絡を流れる「気血」が一時的に集まり、停滞している部分を温めながら流すツボです。
そのため、冷えによる痛みや、急性の炎症(熱)を鎮めるバランス調整点として働きます。


🩺 主な効果・効能

分類 主な効果・適応症
⚡ 鎮痛作用 腕の痛み、歯痛、肩のこわばり、上肢のしびれ
🔥 清熱作用 発熱、喉の痛み、扁桃炎、頭痛
💧 調整作用 下痢、腹痛、便秘の改善
💨 通経作用 気血の滞りをほぐし、経絡の流れを改善

💬 臨床応用

  • 歯痛・頭痛:温溜+合谷(LI4)で鎮痛と清熱を促します。

  • 腕の痛みやこわばり:温溜+曲池(LI11)で炎症を鎮めます。

  • 下痢・腹痛:温溜+足三里(ST36)で消化機能を整えます。

  • 風邪・発熱初期:温溜+商陽(LI1)で解表作用を高めます。


⚙️ 押し方と刺激法

  • 指圧法:親指で前腕の外側を押し、10秒押して離すを3回。

  • 鍼法:直刺0.5〜0.8寸。補瀉どちらにも使用可能。

  • 灸法:冷えや慢性の便秘には温灸を2〜3壮行います。


⚠️ 注意点

  • 骨に沿って取るため、強く押しすぎないようにします。

  • 強い炎症や高熱のときは軽い刺激で使用します。

  • 急性期・慢性期どちらにも応用できます。


🧩 関連するツボ

目的 組み合わせ経穴 効果
鎮痛・清熱 合谷(LI4)、曲池(LI11) 顔面痛、発熱、頭痛
消化調整 足三里(ST36)、中脘(CV12) 下痢・便秘
風邪初期 商陽(LI1)、二間(LI2) 発熱・喉の腫れ

📘 教科書的分類

項目 内容
所属経絡 手陽明大腸経(LI)
五兪穴分類 郄穴
性質 鎮痛・清熱・通経
取穴基準 手首の横じわから肘方向へ5寸、橈骨外縁上

🗺 図解イメージ

手首から肘の中間よりやや手首寄り、前腕外側の骨際です。
※準備中


🌿 まとめ

温溜(おんりゅう/LI7)は、**急な痛みや炎症を鎮める“応急処置のツボ”**です。
歯痛・腕の痛み・下痢・発熱など、急性症状に素早く働き、経絡全体の気血の巡りを整えます。
体の冷えや熱の偏りを調整する万能ツボとして、セルフケアにもおすすめです。

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この記事を書いた人

「医師×鍼灸師プラットフォーム HARI×MED」管理者。クリニックと併設鍼灸院を経営。医学的知見と経営・マーケティングを融合させ、鍼灸のファンを増やす活動を通じて受療率向上を目指しています。持続可能な医療連携モデルの構築を全国で支援します。

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