足太陽膀胱経(BL)完全ガイド|循行・全67穴・背部兪穴・国試対策

目次

はじめに

足太陽膀胱経(Bladder Meridian, BL)は正経十四経脈の中で最も穴数が多く(67穴)、腰背部に連なる背部兪穴群を有する最重要経脈の一つです。五行では水に属し、腎経(KI)と表裏関係にあります。腰痛・坐骨神経痛・頭痛・泌尿器疾患の治療に広く用いられ、背部兪穴を通じて全臓腑の調整に関わります。

基本情報

項目 内容
経脈名 足太陽膀胱経
英名 Bladder Meridian of Foot-Taiyang
略称 BL
五行 水(すい)
陰陽 陽経
表裏経 足少陰腎経(KI)
経穴数 67穴(最多)
起始穴 睛明(BL1)
終止穴 至陰(BL67)

循行ルート(WHO/ISO 2008標準)

膀胱経は内眼角(睛明BL1)から起こり、額を上行し頭頂(百会GV20)で督脈と交会します。後頭部から二本の経脈線(脊柱傍1.5寸・3寸)となって背腰部を下行します。内側線(BL11〜BL30)には各臓腑の兪穴が配置されます。臀部(承扶BL36)から大腿後面・膝窩(委中BL40)を経て下腿後面(承山BL57)・外果後(崑崙BL60)を下行し第5趾外側端(至陰BL67)で終わります。

背部兪穴一覧(内側線:脊柱傍1.5寸)

穴名 番号 位置(棘突起下外方1.5寸) 対応臓腑
肺兪 BL13 第3胸椎
厥陰兪 BL14 第4胸椎 心包
心兪 BL15 第5胸椎
督兪 BL16 第6胸椎 (心包系)
膈兪 BL17 第7胸椎 横隔膜(血の会穴)
肝兪 BL18 第9胸椎
胆兪 BL19 第10胸椎
脾兪 BL20 第11胸椎
胃兪 BL21 第12胸椎
三焦兪 BL22 第1腰椎 三焦
腎兪 BL23 第2腰椎
気海兪 BL24 第3腰椎 (元気)
大腸兪 BL25 第4腰椎 大腸
関元兪 BL26 第5腰椎 (元気)
小腸兪 BL27 第1仙椎 小腸
膀胱兪 BL28 第2仙椎 膀胱

主要経穴一覧

番号 穴名 読み 部位概要 主治・分類
BL1 睛明 せいめい 内眼角内方0.1寸 眼疾患全般
BL2 攅竹 さんちく 眉頭陥中 眼疾患・頭痛・顔面神経麻痺
BL10 天柱 てんちゅう 後髪際上方0.5寸、僧帽筋外縁 頭痛・頸肩痛・目疾患
BL17 膈兪 かくゆ 第7胸椎棘突起下外方1.5寸 血液疾患・横隔膜痙攣(血の会穴)
BL23 腎兪 じんゆ 第2腰椎棘突起下外方1.5寸 腰痛・腎疾患・生殖器疾患
BL25 大腸兪 だいちょうゆ 第4腰椎棘突起下外方1.5寸 腰痛・便秘・下痢
BL36 承扶 しょうふ 臀横紋中点 腰臀痛・坐骨神経痛
BL37 殷門 いんもん 承扶下方6寸 腰痛・坐骨神経痛・下肢麻痺
BL40 委中 いちゅう 膝窩横紋中点 腰痛・坐骨神経痛(合穴・土・下合穴)
BL43 膏肓 こうこう 第4胸椎棘突起下外方3寸 虚労・慢性疾患全般
BL57 承山 しょうざん 腓腹筋筋腹下端陥中 腓腹筋痙攣・痔疾患・腰痛
BL58 飛陽 ひよう 崑崙上方7寸、腓腹筋外縁 頭痛・腰痛(絡穴)
BL60 崑崙 こんろん 外果尖とアキレス腱間陥中 頭痛・腰痛・分娩促進(経穴・火)
BL62 申脈 しんみゃく 外果直下陥中 頭痛・癲癇・不眠(八脈交会穴)
BL64 京骨 けいこつ 第5中足骨粗面外側陥中 頭痛・腰痛(原穴)
BL65 束骨 そくこつ 第5中足骨頭外後陥中 頭痛・腰痛(兪穴・木)
BL66 足通谷 あしつうこく 第5中足趾節関節前外陥中 頭痛・鼻出血(滎穴・水)
BL67 至陰 しいん 第5趾末節外側、爪角旁0.1寸 胎位矯正・頭痛(井穴・金)

要穴まとめ

要穴分類 穴名 番号 五行
井穴 至陰 BL67
滎穴 足通谷 BL66
兪穴 束骨 BL65
経穴 崑崙 BL60
合穴(下合穴) 委中 BL40
原穴 京骨 BL64
絡穴 飛陽 BL58
郄穴 金門 BL63
募穴 中極 CV3

臨床での主な使いどころ

委中(BL40)は「腰背委中求む」の古典格言通り、腰痛・坐骨神経痛の最重要穴です。腎兪(BL23)は腎の背部兪穴として腰痛・腎疾患・生殖器疾患の基本穴。膈兪(BL17)は血の会穴として血液疾患・横隔膜痙攣(吃逆)に必用。至陰(BL67)は灸治療で逆子矯正に用いられる特異的穴として産科との連携で重要です。申脈(BL62)は八脈交会穴(陽蹺脈)として後谿(SI3)と配穴して頸肩部痛・不眠・癲癇に応用されます。

臨床エビデンス

【腰痛】Acupuncture Trialists’ Collaboration(2018, J Pain)の大規模IPDメタアナリシス(n=20,827)では、鍼治療(委中・腎兪を含む選穴)が慢性腰痛・頸肩痛・変形性関節症・頭痛に対して偽鍼・通常治療と比較して有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらすことが示されました。【逆子矯正への至陰灸】Coyle et al.(2012, Cochrane Database)では至陰(BL67)への灸治療が胎位矯正(頭位転換)を促進する可能性が示唆されましたが、十分なエビデンスには至っていません。【背部兪穴の臓腑調整】現代の自律神経研究では背部兪穴への刺鍼が対応節レベルの脊髄反射を介して臓器機能を調整することが動物・人体実験で示されています(Sato, 1993, Neurosci Res)。

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著者:ハリメド編集部|現役医師監修

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この記事を書いた人

「医師×鍼灸師プラットフォーム HARI×MED」管理者。クリニックと併設鍼灸院を経営。医学的知見と経営・マーケティングを融合させ、鍼灸のファンを増やす活動を通じて受療率向上を目指しています。持続可能な医療連携モデルの構築を全国で支援します。

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