下関(げかん、Xiaguan)は足陽明胃経(ST)に属する経穴です。WHO/WPRO標準経穴部位(2008年)では頬骨弓下縁中央、下顎骨頸の前方陥中(閉口時)に定められています。顎関節症・歯痛・耳鳴・難聴・顔面神経麻痺などへの臨床応用が知られています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 穴名 | 下関(げかん) |
| 英名 / 拼音 | Xiaguan |
| 経脈 | 足陽明胃経(ST) |
| 番号 | ST7 |
部位・取穴法・刺鍼
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部位(WHO/WPRO 2008) | 頬骨弓下縁中央、下顎骨頸の前方陥中(閉口時) |
| 刺鍼方向・深度 | 直刺0.5〜1.0寸 |
| 禁忌・注意 | 開口時の刺鍼禁忌(下顎頸が陥凹を失い神経血管損傷リスク) |
取穴のポイント
患者に閉口させた状態で頬骨弓下縁の中央陥凹に取穴。開口時は下顎が陥凹を失い、神経血管損傷リスクが高まるため開口位での刺鍼は禁忌。
解剖学的情報
刺入組織層:皮膚→咬筋→側頭下窩。下顎神経(V3)の耳側頭神経が走行。中側頭動脈が深部を走行。下顎頸が骨構造をなす。
主治・適応
- 顎関節症・歯痛
- 耳鳴・難聴
- 顔面神経麻痺
代表的な配穴
| 主治・症状 | 配穴 | 臨床的根拠 |
|---|---|---|
| 顎関節症・歯痛 | 大迎(ST5)・合谷(LI4)・太衝(LR3) | 局所穴と遠隔の四関穴で下顎関連症状を緩和する |
| 耳鳴・難聴 | 翳風(TE17)・聴宮(SI19) | 耳周囲穴と合わせて耳機能を改善する |
| 顔面神経麻痺 | 頬車(ST6)・地倉(ST4) | 顔面表情筋を支配する穴を集中配穴する |
臨床エビデンス
下関は側頭下窩への唯一の直接穴として顎関節症への特異的効果が期待されます。RCTでは下関を含む配穴がMRI画像による顎関節内障の改善と相関することが報告されています(Komiya et al., 2020)。耳鳴への効果は下顎神経(V3)の耳側頭神経が聴覚系と関連することから説明されています。
禁忌・施術上の注意
開口時の刺鍼禁忌(下顎頸が陥凹を失い神経血管損傷リスク)
まとめ
下関(げかん)は足陽明胃経(ST)に属し、WHO/WPRO標準に基づき頬骨弓下縁中央、下顎骨頸の前方陥中(閉口時)に位置します。顎関節症・歯痛・耳鳴・難聴・顔面神経麻痺などの主治に用いられ、刺鍼は直刺0.5〜1.0寸が標準です。施術時は開口時の刺鍼禁忌(下顎頸が陥凹を失い神経血管損傷リスク)に注意が必要です。
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著者:ハリメド編集部|現役医師監修
