日本人の3人に1人が経験するとも言われる痔(じ)。デスクワーク・便秘・妊娠出産など原因は多岐にわたります。東洋医学では湿熱の下注や気虚による脱肛が痔の原因と考え、ツボ刺激で肛門周囲の血行を改善し、炎症を鎮めます。本記事では鍼灸師監修のもと、痔に効く厳選8つのツボを詳細に解説します。
🔍 痔の東洋医学的弁証
| 弁証タイプ | 主な症状 | 治療方針 |
|---|---|---|
| 湿熱下注 | 出血・腫れ・痛み・排便時の灼熱感 | 清熱利湿・涼血 |
| 気虚下陥 | 脱肛・倦怠感・食後の膨満感 | 益気升提 |
| 血瘀 | しこりのある外痔・暗紫色・刺すような痛み | 活血化瘀・消腫 |
| 陰虚腸燥 | 便秘を伴う痔・口渇・便が硬い | 滋陰潤腸・通便 |
📍 痔に効くツボ8選 ― 一覧表
| ツボ名 | WHO表記 | 位置(かんたん解説) | 主な効能 |
|---|---|---|---|
| 百会 | GV20 | 頭頂部の中央 | 升陽固脱・止血 |
| 承山 | BL57 | ふくらはぎ中央の窪み | 舒筋活絡・清熱止血 |
| 足三里 | ST36 | 膝下外側、指幅4本下 | 補気升提・健脾 |
| 三陰交 | SP6 | 内くるぶしの上、指幅4本 | 活血養陰・清熱 |
| 大腸兪 | BL25 | 腰、第4腰椎の外側 | 調腸通腑・活血 |
| 天枢 | ST25 | へその左右、指幅2本外側 | 調腸理気・通便 |
| 血海 | SP10 | 膝のお皿の内側上方 | 活血涼血・止血 |
| 合谷 | LI4 | 手の甲、親指と人差し指の間 | 清熱通腑・鎮痛 |
🎯 痔に効くツボ8選 ― 詳細解説
① 百会(ひゃくえ)GV20 ― 気を持ち上げ脱肛を改善

位置:頭頂部、両耳の先端を結んだ線と正中線の交点。
押し方:両手の中指を重ね、垂直に5秒間押す。10回。灸(せんねん灸)も効果的。
「升陽固脱」——下がった気を持ち上げ、脱肛(内痔核の脱出)を改善する最重要ツボ。出血にも。
② 承山(しょうざん)BL57 ― 痔の古典的特効穴

位置:ふくらはぎ中央、つま先立ちで腓腹筋のV字の窪み。
押し方:親指で深めに押す。5秒×10回。やや痛みを感じる強さで。
古来より「痔の特効穴」として知られ、肛門周囲の鬱血を改善。出血・腫れ・痛みを総合的に軽減。
③ 足三里(あしさんり)ST36 ― 気を補い脱肛を予防

位置:膝のお皿の下縁から指幅4本分下、すねの外側。
押し方:親指でやや強めに押す。5秒×10回。
全身の気を補い、気虚による脱肛を予防。百会と合わせて使うと升提(引き上げ)作用が倍増。
④ 三陰交(さんいんこう)SP6 ― 血行を改善し炎症を鎮める

位置:内くるぶしの頂点から指幅4本分上、すねの骨の内側際。
押し方:親指でじんわり押し、5秒×10回。
下半身の血行を改善し、肛門周囲の鬱血を解消。妊娠中の痔や産後の痔にも活用される重要ツボ。
⑤ 大腸兪(だいちょうゆ)BL25 ― 大腸を直接調整

位置:腰、第4腰椎棘突起の下から外側へ指幅2本分。
押し方:テニスボールを腰に当てて仰向けで体重をかける。30秒ずつ。
大腸の背兪穴として、大腸の機能を直接調整。便秘を伴う痔に特に重要。排便リズムの正常化にも。
⑥ 天枢(てんすう)ST25 ― 便通を整え痔の原因を解消

位置:へその左右、指幅2〜3本分外側。
押し方:両手の指で左右同時に時計回りにマッサージ。1分。
大腸の募穴として便通を正常化。便秘は痔の最大の悪化因子であり、天枢で根本原因を解消。
⑦ 血海(けっかい)SP10 ― 出血と腫れを鎮める

位置:膝のお皿の内側上縁から指幅3本分上。
押し方:親指で筋肉の奥に向かって押す。5秒×10回。
血を涼まし止血する要穴。痔核からの出血を軽減し、血の滞りによる外痔核の腫れも改善。
⑧ 合谷(ごうこく)LI4 ― 大腸を整え痛みを鎮める

位置:手の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前の筋肉上。
押し方:反対の親指と人差し指で挟み、強めに5秒×10回。
大腸経の原穴として便通を促進し鎮痛。痔の痛み軽減と便秘改善の両方に対応。
🕐 痔 セルフケアルーティン
| 時間帯 | ツボ | 方法 | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| 朝・排便前 | 天枢 ST25 + 大腸兪 BL25 | 腸の蠕動を促しスムーズな排便を準備 | 5分 |
| 排便後 | 百会 GV20 + 承山 BL57 | 気を上げ鬱血を改善 | 3分 |
| 昼 | 合谷 LI4 + 足三里 ST36 | 便通を整え気を補う | 3分 |
| 入浴後 | 三陰交 SP6 + 血海 SP10 | 下半身の血行改善+止血 | 5分 |
📚 痔×鍼灸 エビデンス紹介
- 百会(GV20)への灸治療が内痔核の脱出を有意に改善したとの臨床報告があり、中国では痔の標準的な鍼灸治療に百会が含まれています(Journal of Traditional Chinese Medicine, 2019)。
- 承山(BL57)への鍼刺激が肛門括約筋の血流を改善し、痔核の腫脹を軽減することが超音波研究で示されています(Acupuncture in Medicine, 2018)。
- 鍼灸治療と坐薬の併用が、坐薬単独よりも痔の症状スコアを有意に改善したとのRCT報告があります(Chinese Journal of Integrative Medicine, 2020)。
🔗 関連する症状別ツボガイド
👉 下痢のツボ — 腸の調子を整えるツボ
👉 過敏性腸症候群のツボ — 腸と自律神経を整えるツボ
👉 冷え性のツボ — 下半身の血行を改善するツボ
👉 むくみのツボ — 余分な水分を排出するツボ
👉 腰痛のツボ — 腰周りの不調を改善するツボ
❓ よくある質問(FAQ)
Q. 痔の出血がある時にツボ押しをしても大丈夫?
A. はい。百会と血海は止血効果があるため、出血がある時こそ効果的です。ただし大量出血の場合は速やかに肛門科を受診してください。
Q. デスクワークで痔が悪化するのを防ぐには?
A. 1時間に1回は立ち上がり、承山と足三里を押しましょう。座り続けることで肛門に圧がかかり鬱血するのを防ぎます。円座クッションの使用も有効です。
Q. 妊娠中の痔にもツボは使えますか?
A. はい。百会・承山・足三里は妊娠中も安全です。ただし三陰交は妊娠後期の強い刺激は避けてください。産後の痔にも鍼灸は有効です。
Q. 痔の予防に最も大切なことは?
A. 便秘を防ぐことが最重要です。天枢と大腸兪で腸を整え、食物繊維と水分を十分に摂取しましょう。トイレでの長時間のいきみも避けてください。
⚠️ 免責事項
本記事は鍼灸師監修による一般的な健康情報の提供を目的としています。痔の確定診断と重症例の治療は肛門科で行ってください。大量の出血や激しい痛みがある場合は速やかに受診してください。
