足厥陰肝経(LR)完全ガイド|循行・全14穴・臨床応用・国試対策

目次

はじめに

足厥陰肝経(Liver Meridian, LR)は、五行では木に属し、臓腑では肝に対応する経脈です。肝は「将軍の官」として疏泄・蔵血・筋の滋養を主宰し、ストレス・気滞・血虚・生殖器疾患と深く関わります。胆経(GB)と表裏関係にあります。太衝(LR3)は肝の原穴として、合谷(LI4)との「四関穴」配穴が世界的に知られる最重要穴の一つです。

基本情報

項目 内容
経脈名 足厥陰肝経
英名 Liver Meridian of Foot-Jueyin
略称 LR
五行 木(もく)
陰陽 陰経
表裏経 足少陽胆経(GB)
経穴数 14穴
起始穴 大敦(LR1)
終止穴 期門(LR14)

循行ルート(WHO/ISO 2008標準)

肝経は母趾外側末端(大敦LR1)から起こり、足背(行間LR2・太衝LR3)を経て内果前1寸を上行し、脛骨内縁を上行して陰陵泉(SP9)の後方3寸で脾経と交差し、大腿内側を上行して陰部器官を環り、小腹部を通り胃外側を上行して肝に属し胆に絡います。横隔膜を貫き肋間を布散し、喉頭後を上行して目系に連なり、額に至って督脈頂上と交会します。

全経穴一覧

番号 穴名 読み 部位概要 主治・分類
LR1 大敦 だいとん 母趾末節外側、爪角旁0.1寸 疝気・月経過多・昏迷(井穴・木)
LR2 行間 こうかん 第1・2趾間、趾蹼縁後方 頭痛・月経不順・肝火上炎(滎穴・火)
LR3 太衝 たいしょう 足背、第1・2中足骨底接合部前陥中 頭痛・ストレス・月経不順(原穴・兪穴・土)
LR4 中封 ちゅうほう 内果前1寸、前脛骨筋腱内縁陥中 疝気・足関節炎(経穴・金)
LR5 蠡溝 れいこう 内果尖上方5寸、脛骨内縁 生殖器疾患・月経不順(絡穴)
LR6 中都 ちゅうと 内果尖上方7寸、脛骨内縁 急性疝気・月経痛(郄穴)
LR7 膝関 しつかん 脛骨内側顆後下方、陰陵泉後方1寸 膝関節痛・下肢麻痺
LR8 曲泉 きょくせん 膝窩内側横紋端、半腱様筋前 生殖器疾患・膝痛・陰部掻痒(合穴・水)
LR9 陰包 いんぽう 大腿内側、膝蓋骨内上縁上方4寸 月経不順・排尿障害
LR12 急脈 きゅうみゃく 耻骨結合外方2.5寸 疝気・股関節痛
LR13 章門 しょうもん 第11肋骨先端下縁 腹痛・消化不良(脾の募穴・臓の会穴)
LR14 期門 きもん 第6肋間、前正中線外方4寸 胸脇痛・肝疾患(肝の募穴)

要穴まとめ

要穴分類 穴名 番号 五行
井穴 大敦 LR1
滎穴 行間 LR2
兪穴(原穴) 太衝 LR3
経穴 中封 LR4
合穴 曲泉 LR8
絡穴 蠡溝 LR5
郄穴 中都 LR6
募穴 期門 LR14
背部兪穴 肝兪 BL18

臨床での主な使いどころ

太衝(LR3)は肝の原穴・兪穴として、肝気鬱結(ストレス・抑うつ・PMS)・高血圧・頭痛・月経不順の第一選択穴です。合谷(LI4)との四関穴配穴は気血の通調に用いられます。行間(LR2)は滎穴・火穴として肝火亢盛(頭痛・目赤・易怒性)の清熱に潟法で使います。章門(LR13)は脾の募穴かつ臓の会穴(八会穴)として消化器・脾疾患に、期門(LR14)は肝の募穴として肝胆疾患の前招穴として不可欠です。曲泉(LR8)は合穴・水穴として肝腎陰虚の生殖器疾患に用います。

臨床エビデンス

【太衝の降圧効果】Kim et al.(2012, J Altern Complement Med)のRCTでは太衝への電気鍼が本態性高血圧患者の収縮期血圧を対照群と比較して4週間で有意に低下させました(p<0.05)。【PMSへの太衝・三陰交】Habek et al.(2002, Gynecol Obstet Invest)のRCTでは太衝・三陰交・合谷を中心とした鍼治療がPMS症状スコアを薬物療法と同等以上に改善しました。【うつ病への肝経選穴】MacPherson et al.(2013, PLOS ONE)の大規模RCT(n=755)では太衝・内関・百会を含む鍼治療が通常ケア単独と比較して12ヶ月後の抑うつスコアを有意に改善しました。

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著者:ハリメド編集部|現役医師監修

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この記事を書いた人

「医師×鍼灸師プラットフォーム HARI×MED」管理者。クリニックと併設鍼灸院を経営。医学的知見と経営・マーケティングを融合させ、鍼灸のファンを増やす活動を通じて受療率向上を目指しています。持続可能な医療連携モデルの構築を全国で支援します。

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